演出家なんてもの、この期に及んではうろうろしても仕方ないので、裏方スタッフさんの邪魔にならないように、ちょこんとしています。
連日たくさんのお客さまのご来場、暖かいご批評、ありがとうございます。
私は、その公演の主題を、稽古が始まる前に決めません。演劇にとっては、演出家の頭の中でうんうん唸って考えたアイディアよりも、現場で俳優を通して、脚本をたちあげていったときに現れるものが重要だからです。
今回稽古を進めていくうちに見えた主題は、一人の女性の依存と自立の物語です。
天才数学者の話であり、家族の話であり、恋人の話ですが、芯にあるものは、一人の女性が自分の足で立ち上がるまでのお話なんじゃないかな、と思うのです。
「proof」という脚本が本質的に持っている可能性は、他にもいくつもあるとおもいます。しかし、コロブチカというチームにおいては、「自立」という言葉がもっともしっくりきました。
「自立」するということは「孤独を引き受ける」ことなのだと思います。私たちは2時間20分かけて、一人の女性が愛情や憎しみを抱きつつ、孤独を引き受けていくさまを、お客さまとつくっていきます。
今日も素敵な公演を、お客さまとつくれますように。